芸能人 風間ルミ デンジャラスプロレスラー

風間ルミがリングに帰ってきた本作は、かつての栄光と肉体が交錯するプロレスAV。舞台は大観衆の視線が突き刺さるリング。後輩の借金を背負い、自らの肉体で決着をつける夜、カメラは汗とスポットライトに濡れる躰をじっくり捉える。激闘の記憶を宿した肉体が再び試合衣装に包まれる瞬間、観客のざわめきとともに彼女の闘志も蘇る。スタジオ演出ながら臨場感が高く、観る者は自然と過去のリングを想起する構成になっている。過去と現在がぶつかる“闘う女”の復活を描く意欲作だ。

往年の女子プロレスラーとして名を馳せた風間ルミは、年齢を重ねた肢体にかつての力感を残す存在感。むちっとした腹部と豊満な乳房、甘い声に宿る強気な眼差しは、レビューで「太めでもリアルに抜ける」と評された独自の熟女フェチ像を形成している。リングの女王らしい威圧感と、屈服の瞬間に垣間見える人間的な柔らかさ。その対比が彼女の最大の魅力だ。衣装はプロレスコスチュームを中心に、SMクラブの女王風スタイルへと展開し、コスチュームフェチと筋肉フェチ双方の嗜好に訴える。

物語は、後輩レスラーの借金を理由にリングへ戻る筋立て。トレーナーとの練習で滲む汗、再び闘志を燃やす眼光、そして試合中に衣装を破かれ羞恥に染まる肉体が克明に描かれる。レビューでも「辱められるルミのM的官能」「フォールされたいという衝動」と語られる通り、屈辱と快楽が綱引きする心理描写が際立つ。肉体が押さえ込まれるたびに響く息づかい、揺れ動く乳房、噴き出す汗の粒までが、熟女プロレスの倒錯的なエロスを強調している。

SODクリエイトの「芸能人」シリーズらしく、企画性と演技を融合させた構成が特徴。再起というドラマ要素に肉体のリアリズムを重ね、フェチ的視点で再構築した点が本作の肝といえる。美形ではない成熟肉体の赤裸々な描写が、近年の整いすぎた作品とは異なる方向性を示す。演出面では、不忍チロー監督のカメラが羞恥と汗を丁寧に拾い上げ、被写体を“堕ちゆくヒロイン”として捉える手腕が光る。プロレスの儀式性とAVの背徳を融合させた、異色のフェチAVとして評価に値する一作だ。